今晩世界が終わると仮定して、好きな人へ

 

怒らないで聞いてね。

守ってあげたい人が守らせてくれないときに

一番傷つくんです。

 

わたしは悲しいときいつも

今日で世界が終わることを考えます。

なので今晩で世界が終わると

仮定して告白します。

 

今日が最後の夜だと考えるとうれしい。

小さい頃からよく眠っている間に

地球がなくなっていることを考えていました。

 

スーパーの特売日とか、

美容室の予約とか、

積読本とか、

公共料金の支払日とか、

ゴミ捨てとか、

失恋とか、

何もかも無意味で、

もう何かに憧れることも何かに焦ることもなく、

何にもなれなかった自分も終わるんです。

手に入れたもの全てを手放すことよりも

幸福な瞬間ってないと思います。

 

今朝は電車を乗り間違えました。

そのあと道に迷って

会社に遅刻しそうになったけど

走ったら間に合いました。

お昼ご飯は今朝作ったおにぎり。

仕事はふつうです。

帰りはイヤリングを落としました。

わたしはいつもずっと同じです。

 

そっちはどうですか?

寒くないですか?

昨晩は眠れましたか?

ご飯は食べましたか?

うれしいことはありましたか?

後悔していることはありますか?

思い出せそうなことはありますか?

好きな人はいますか?

 

わたしは恋がよくわかりません。

でも、恋としか呼べない気持ちになったのなら

恋と呼ぶしかないなと思い、

恋と呼んでいます。

 

今回生まれて初めて恋を認めて恋をして、

人の皮膚の薄さだったり、

その人のずっと昔からあるような匂いだったり、

そういうものを知って、

ずっと逃げ回ってきた感情を処理して、

わたしは少し大人になりました。

 

あなたはわたしの中にずっとあった

世界や人間や恋や生活に対する

違和感や絶望感を麻痺させてくれていたのだと

最近気づきました。

 

苦しみはなくなりはしないし、

麻痺することが良いことなのかわからないし、

何にも解決していないけど、

生き延びるには最適でした。

 

今日まで生き延びさせてくれてありがとう。

 

ここから攫われたいとか、

何にもないしどうしようもない自分を

見つけ出して救い出してほしいとか、

そういう他人任せの願望を

叶えてくれていたのかもしれない。

 

そんなの普通によくあることだと

相手にされないかもしれないけど、

わたしはいじけずに

世界を見るのは初めてだったので

運命かと思ってしまいました。

 

でも恋はただの執着心と信仰心なので、

出会えたことを特別な運命だなんて思わず、

他の選べたかもしれない人生と

対等に扱うことが大事なのでしょう。

 

お互いに違う選択をしながら

生きて出会うことすらなかったのだとしても、

出会えた側のわたしは

最大限の執着心と信仰心を以って

好きでいます。

つまり、世界が終わっても

何も変わらないということです。

 

どうして誰かに話をしようとすると

自分のことばかりになっちゃうんでしょうか。

あなたの話だけを聞いていたいのに、

あなたのことを考えるとき必ず

自分がいてわたしはわたしが邪魔です。

 

生まれ変わったら話を聞かせてください。

 

【書き手】

無傷

妄想ラブレターとは

中学の頃好きだったあの子、
高校のとき一緒に帰っていた彼、
大学で一瞬いいなと思ったあの人……。

恋の片鱗はどんなときにもあったけれど、
「好き」という言葉を
伝えることができた相手は、
思ったより少ないのではないのでは?

それぞれが胸のなかに秘めた「好き」を
思い出すきっかけにしてほしくて、
『妄想ラブレター』の連載を始めました。

寄せられるラブレターは、すべて妄想。
書き手の実体験をもとにしたものや、
どこかで聞いたような話も
あるかもしれませんが、
どこまでもフィクションです。

でもその中につづられた
「好き」に触れるうち、
あなたの中の甘酸っぱい思い出が目覚める…
なんてこともあるかも?

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