秘密がバレてないと思ってるあなたへ

 

木津根くんへ

 

こんにちは。

突然の手紙で驚かせてしまっていたら、

ごめんなさい。

 

わたし、綿貫さやといいます。

同じクラスで、あなたのふたつ後ろの

右斜めの席に座っています。

 

前からずっと木津根くんと話してみたいな~と

思っていたんだけど、

直接話しかける勇気がなくって……

 

LINEやってないと聞いたので、

(ていうかスマホ持ってないよね…?)

こんな形で連絡させてもらいました。

 

普段手紙って書かないから緊張してるけど、

がんばって書くので、

最後まで読んでもらえたら嬉しいです。

字が汚くてごめん笑

 

本題です。

わたし、実は気づいてるんです。

あなたが人間じゃないこと。

これ、もし違ったら、

全力でスルーしてほしいんだけど!!

 

こないだ、木津根くんが古文の授業中に

うとうとしてた時…見えちゃったんだよね。

 

しっぽが。

 

慌ててひゅっ!ってしまってたけど、

リアルすぎる、ふさふさのしっぽ……

 

えっと、木津根くんって、キツネ…だよね?

キツネが人間に化けるのって、

絵本だとよくある話だけど、本当だったんだね…

一瞬だったから見間違いかな?

とも思ったんだけど、

改めて木津根くんのことを見始めたら……

もうそうとしか思えなくて。

 

名前も木津根だし、まんまだし!

わ~もう絶対キツネじゃんかって笑

 

今度機会あったら、

変身するとこ見せてほしいな。

(やっぱり葉っぱを頭に乗せるの?)

 

というのは冗談で……

ここから本題その2。

 

いきなりこんな立て続けで、

信じてもらえないかもしれないけど。

あなたのことが好きです。

 

授業中あなたの髪が、

きらきら金色に光るのが綺麗だなと思って。

気がついたら目で追うようになっていました。

 

授業中とか、体育の時間とか、放課後とか……

いつもクールだけど、たまに見せる笑顔が

すごく素敵で、かっこよくて。

 

しっぽを見つけたのはそのあと。

でもそれで余計考えるようになっちゃって…

もう、一日中木津根くんで頭いっぱいで、

どうしようもないんです。

 

誰かのことがこんなに気になるのは

生まれてはじめてで、

自分でもどうしたらいいか

わからなくなっちゃって、

今この手紙を書いています。

 

一度もきちんと話したこともないし、

むしろわたしのこと知ってる?

ってレベルなのはわかってるから、

あんまり希望持ってないけど……

というか気持ち悪がらせてたら

本当に申し訳ないんだけど……

 

お付き合いをしてもらえませんか?

わたし口固い方だし、

木津根くんが人間やってくうえで、

きっと何か役に立てることもあるはず!なので、

ちょっとだけでもいいので、

考えてみてほしいです。

 

あ。ちなみにもし断られたとしても、

木津根くんがキツネってことは

もちろんみんなには秘密にするから!

そこはどうかご心配なく!!

 

この手紙を読んで、

すぐにどうこうじゃなくても、

少しでもチャンスがあるなら。

来週の後夜祭、

ダンスの相手に選んでほしい…な。

返事はその時でもいいし、手紙でもいいし、

ていうか無視でもいいんだけど…

 

一応、LINEのIDも書いておくね。

いきなり手紙書いてごめんなさい。

ここまで読んでくれて、ありがとう。

 

綿貫

watashi_watanuki

 

【書き手】

俗ナナコ

 

妄想ラブレターとは

中学の頃好きだったあの子、

高校のとき一緒に帰っていた彼、

大学で一瞬いいなと思ったあの人……。

 

恋の片鱗はどんなときにもあったけれど、

「好き」という言葉を

伝えることができた相手は、

思ったより少ないのではないのでは?

 

それぞれが胸のなかに秘めた「好き」を

思い出すきっかけにしてほしくて、

『妄想ラブレター』の連載を始めました。

 

寄せられるラブレターは、すべて妄想。

書き手の実体験をもとにしたものや、

どこかで聞いたような話も

あるかもしれませんが、

どこまでもフィクションです。

 

でもその中につづられた

「好き」に触れるうち、

あなたの中の甘酸っぱい思い出が目覚める…

なんてこともあるかも?

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