アメリカに行ってしまった涼太へ

 

出会ったときのこと覚えてる?

 

初めて涼太のことを知ったのは、

サークルの新入生歓迎会のとき。

 

ここで友だち作らなきゃなーって思って

無理して参加した歓迎会で、絶対この人と

仲良くなることはないんだろうな、と

思ったのが涼太だった。

 

全員初対面のはずなのに、

なぜかみんなの中心にいるし、

涼太が話すことすべてにみんなは笑うし、

お酒もガバガバ飲むし、

女子の半分くらいは涼太のこと

好きになってそうだったし。

 

こういうタイプの人間って

本当に存在するんだなーって

ウーロンハイ飲みながら思ってたよ。

 

最寄り駅が同じで

自然と一緒に帰ることになったときは、

正直勘弁してくれって思った。

 

共通の話題なんてないし、

無理して飲んだせいで

まあまあ酔っぱらってたし、

そもそも今日一言も話してないし…。

 

だから、ウーロンハイそんな好きなんスか?

って言われたときはびっくりしちゃった。

隅っこで目立たないようにしてたのに、

よく覚えてるね。

 

あ~俺、影薄いやつ見つけるの上手いんスよね。

今、影薄いって言った?

あ、そういうつもりじゃ…。

 

なるほど、これは好きになる。

気が付いたら

楽しくおしゃべりしてしまっている。

 

お酒の匂いのなかに、

少しだけ香水の匂いが混ざってる。

街頭に照らされた金髪きれいすぎない?

みたいなことを考えながら、

涼太の隣歩いてたんだよ。

 

当たり前のように家まで

送ってくれたのも嬉しかったけど、

過去の女の子もこうやって

優しくしてもらってたんだなと思って、

初めて喋ったのにもう知らない女の子に

嫉妬したりしてたんだよ。

 

それから一緒に帰ることが多くなって、

二人で飲みに行くようになって、

大学がない日も二人で出かけるようになって、

涼太に告白されて、

彼氏彼女という関係になって。

 

私はそんなに感情が

表に出るタイプじゃないから、

喜怒哀楽がはっきりしてる涼太を

近くで見てるのがすごく楽しかった。

 

喜んでるときは、人間なのに

尻尾ブンブン振ってるのが見えるし、

落ち込んだり嫌なことがあると

耳が垂れてたし。

 

だから、神妙な顔つきで

バスケやるためにアメリカ行くって

言われたときも、わかっちゃったんだよね。

尻尾ブンブン振って

超わくわくしてたんだもん。

 

あ~これ本気のやつじゃん、

誰がなにを言おうと

変わらないやつじゃん、って。

 

さて!この手紙を読んでるということは、

無事にアメリカまで届いたということね。

よかったよかった。

 

あれ、俺住所教えたっけ?って思ったでしょ。

 

実は今、アメリカに向かってます。

自分でもびっくりなんだけど、

私、思ってた以上に涼太のことが好きみたい。

 

バスケやって喜んだり、悔しがったり、

闘争心むき出しだったりする涼太を

一番近くで見るのは

自分じゃなきゃ嫌だ、って思ったら、

いてもたってもいられなくなって

アメリカ留学することに決めたんだ。

 

あと、向こうの女の子たちに

日本で嫉妬するとかありえないな、と思って。

 

私もなかなか感情豊かになってきたんだなぁ。

 

普段恥ずかしくて言えないから

せめて手紙ではちゃんと言う。

 

涼太、大好きだよ。

 

これからも涼太の一番近くにいたいです。

アメリカでもよろしくね。

 

P.S.

住所を教えてくれたのはテツヤくんでした。

私が言えることじゃないけど、

彼、影薄すぎない?

 

【書き手】

あんぱん

 

妄想ラブレターとは

中学の頃好きだったあの子、

高校のとき一緒に帰っていた彼、

大学で一瞬いいなと思ったあの人……。

 

恋の片鱗はどんなときにもあったけれど、

「好き」という言葉を

伝えることができた相手は、

思ったより少ないのではないのでは?

 

それぞれが胸のなかに秘めた「好き」を

思い出すきっかけにしてほしくて、

『妄想ラブレター』の連載を始めました。

 

寄せられるラブレターは、すべて妄想。

書き手の実体験をもとにしたものや、

どこかで聞いたような話も

あるかもしれませんが、

どこまでもフィクションです。

 

でもその中につづられた

「好き」に触れるうち、

あなたの中の甘酸っぱい思い出が目覚める…

なんてこともあるかも?

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