第二回『今宵楽しむ映画とそのお供』〜葛城事件〜

あなたの家族はどんな一家ですか?絵に描いたような幸せ家族?家族なんて嫌い…?

 

今回観たのは地獄みたいな家族の話。

【注意:ネタバレあり】

葛城事件〜俺が一体、何をした。

 

 

あらすじ

↓↓↓

父親から受け継いだ小さな金物屋を懸命に切り盛りし、マイホームを手に入れ、妻の伸子(南果歩)と共に長男・保(新井浩文)と次男・稔(若葉竜也)を育て上げた葛城清(三浦友和)。理想の家族と生活を築いたと考えていた彼だったが、21歳になった稔が8人を殺傷する無差別殺人事件を起こして死刑囚になってしまう。自分の育て方に間違いがあったのかと清が自問自答する中、伸子は精神的に病んでしまい、保は勤めていた広告代理店を解雇される。やがて、稔と獄中結婚したという女・星野が現れ……。(シネマトゥデイより)

 

 

暗くなりそうな映画は進んで見ないんですが、Netfrixからなんとなくポチっと観てしまいました。

なんとなく観たのは間違いだったー!
観終わった後はなんとも言えない…なんて言うか…胸くそ悪りーーーっ!!!って感じ!

 

エンドロール、しばらくフリーズして、ズーンと気分が落ちて具合悪くなるくらい。もうげっそりです。ああ。

 

予備知識とか何にもないまま見始めたので、最初は次男・稔が起こした無差別殺人事件がきっかけで、家族が崩壊していく…みたいな、ちょっと悲しいストーリーをイメージしてたんですが、まったくそうではありませんでした。

 

この葛城家どうしてこんな風になってしまったのか。次男・稔が無差別殺人事件を起こす前と後が交差しながら物語が進んで行きます。

ほんと地獄のような家族の話…。

登場人物① 葛城清(三浦友和)

この物語の悪の根源、家族をめちゃくちゃにしてしまうのはまさかの父・清。
三浦友和が演じているのですが、これが独特の雰囲気で怖い。

 

今までのイメージだと「洋服の青山」だったか「スーツのはるやま」だったかどっちなんだ?って感じだったのですが、今回ハッキリしました!「洋服の青山」です。

 

一昔前の頭の固い、「俺の言うことが一番」っていう、日本の悪い父親代表みたいな父親でした。

家族を抑圧して、人の気持ちを考えない、分かろうとしない、自分本位で勝手な人間(酷い言いよう 笑)。

 

登場人物② 母・伸子(南果歩)

母・伸子(南果歩)はそんな清に逆らえず、ずっと見て見ぬ振りをしてきて、もう思考停止状態に。伸子はいつもコンビニ弁当を食べているんですが、「ああ、ご飯作らないんだな〜」ってのが破綻してる感あります。

登場人物③ 長男・保(新井浩文)

長男・保(新井浩文)はこの中で一瞬まともに見えますが、自分を抑えて周りの顔色を伺って生きてきたせいで人に相談したり出来ない、悩みをどんどん溜め込んでしまうような人に。一番脆いタイプですね。私の周りだと、あの人かな、、、、

登場人物④ 次男・稔(若葉竜也)

殺人事件を起こしてしまう次男・稔(若葉竜也)。父に一番逆らってますが、一番嫌いなはずの父と一番似た者同士な気がする。

というように、清の抑圧の元に暮らしてきた葛城家の人々はみんなそれぞれ問題を抱えた人たちに。まあとにかく、清の抑圧や恐怖やでたらめがすごいんです。

ある場面、長男・保夫婦とそのご両親との食事会。そこで清がものすごい剣幕で「麻婆豆腐が辛すぎるよ!」と。え。(笑!!!)

「俺は20年この店通ってんだよ!」「オーナー呼べよ!」、味の分かる俺、オーナーと知り合いの俺…ただ自分の権力みたいなのを見せびらかしたいだけの謎のクレーム。
でも、人間、欠点や悩み、上がる時下がる時、あるもんですよね。

それを一緒に乗り越えて行くのが家族なんだろうけど(なんか綺麗事みたいでアレですけど)、でも葛城家の人々は誰もこの清に立ち向かえず、清自身もどうにもできず、この悪循環を止められずにどんどん壊れていってしまった…。

 

一度、耐え切れなくなった母・伸子が家を出て、次男・稔とこっそりアパートで暮らしていたことがあるんです。

そしてそこに居合わせた長男・保と3人で「地球最後の日に食べるとしたら何がいい?」と、たわいもない会話を笑いながら話す場面があります。この映画で唯一救いのある場面かも知れません。3人それぞれ何が食べたいか言い合います。清がいないところではこんな風に自分の意見を言ったり笑ったり出来るんです…。

 

でもそんなのも、清の登場により一瞬で終了。勝手に出て行った家族を見つけて清が取る行動は…。
この時葛城家の全てが崩れ去ったのでしょう。

その結果、長男は誰にも相談できず自殺して、次男は無差別殺人を起こして死刑囚に、母は精神を病んで廃人のようになってしまいました。なんて絶望。

 

そして登場人物がもう1人。

登場人物⑤ 謎の女性、星野順子(田中麗奈)

稔が事件を起こし死刑囚になった後、家族が崩壊して1人になってしまった清の元に現れる、死刑囚の稔と獄中結婚したという謎の女性、星野順子(田中麗奈)。

 

ちょっと謎過ぎて私は最初意味が分からなかったんです。でもこの映画、実際にあったさまざまな事件が元になっているんですね。その一つの「附属池田小事件」では、実際に死刑廃止運動家の女性が現れて、死刑囚と獄中結婚していたんですね。なるほど。

 

「人間に絶望したくないんです!」というこの死刑廃止運動家の順子。劇中では彼女の過去や素性にはあまり触れられないんですが、この人もどうしてこうなってしまたのかなと順子の過去も気になりました。

 

そして最後、この順子にも「俺が誰か殺して死刑囚になったら、あんたは結婚してくれんのか!」なんて言って迫ってフラれ(ほんと何やってんだよ!)、本当にたった1人になってしまった清は、夢いっぱいだった頃に植えたみかんの木で、自ら首を吊って死のうとします。
ですが、そんな簡単に死ねるはずもなく失敗。

 

その後どうするのかなーと思ったら、死ぬ直前まで食べてたコンビニそばを、また何事もなかったのように食べ続ける…これで物語は終わります。

 

清が順子に「やっぱりあいつを死刑にしないでくれ、あいつは生きて地獄を味わっていくべきだ。」って訴える場面があるんですけど、清自らがそうなってしまったんですね。清はこれからも生きていくしかない。

地獄は続いていく…。

 

最初は、もうなんだこの家族…やべーなあ…。って思って観てしまってたんですが、でも。
一家で見たらすごい大変な家族なんだけど、この人たち一人一人が、実はすごく身近で共感できるというか、こんな人ってきっとたくさんいるし、私もその一人になりうるかな、と。

 

清は本当にひどい人ですが、本当は父の金物屋を継いで狭い世界で生きている自分にコンプレックスを抱いている。本当はとても弱くて、そこからくる虚勢の人っていうか…ほんとこういう人、いるよ。

 

他の家族に対しても、こんな事があったら私も絶対腐ってこうなってしまうわ…と思いました。(私は保タイプになりそうです…。あなたは誰タイプですか…。)
それに、清と信子だって、結婚した時からこんなだったわけじゃないし、保と稔が産まれた時はさぞ喜んだことでしょう。

 

実際に、マイホームを建てた時のシーンがあるんですが、保と稔はまだ保育園?小学生でしょうか?キャーキャーはしゃいで、清も子供達の幸せを願ってみかんの木を植えたんだーなんて、、、

 

そう、こんなめちゃくちゃになる前は、幸せにあふれた普通の家族だった訳です。
それがどんどん壊れていく様を見ている怖さといったら。死刑囚とその家族なんていう、自分とはかけ離れた世界のことと思って見始めたはずが、とても他人事とは思えなくなってきて恐怖におののきました。私ももし何かのきっかけがあったら、、、、怖い。

ちなみに、そんな世間をまだ何も知らなかった幼き頃の私。↓↓↓

(無垢という言葉がぴったり)

 

そいえば最近、”育ち”について話したことがありまして。

大人になっていくにつれていろんな経験をするし、いろんな人に出会うけど、やっぱりその人の人格を形成したりするのって小さい頃の”育ち”でおおかた決まるんじゃないかっていう話。

 

大人になってからより、小さい頃のトラウマの方が強く残ったり、小さい頃からの癖が治りづらかったり、やっぱり昔からの”育ち”って、環境が変わっても周りが変わっても、多かれ少なかれ何にしろその人の根底にあり続けるし、自然とそれに左右されてしまうと思うんですよね。

 

私も最近「絶対になるまい!」と思ってた自分の父の嫌なところに自分が似てきた部分あるなぁと思うことがあります。

「ヤダなー、こわいなーこわいなー」(稲川淳二風)

 

だからやっぱ、小さい頃からの育ちっていうのは、本当に大切だなぁみたいな話を最近友達とよくしてたんです。(どんな話してんだ)

 

ちなみに私の“育ち”を振り返ると、

手でご飯を食べて育った私。

バケツに入浴してた私。

自分のことクマちゃんだと思ってた私。

あ、今でも自分のことクマちゃんだと思ってますし。

育ちって大切ですね。

 

稔も保も、清のような父親に抑圧され続けて育ってきて、稔はなりたくないはずなのに自然と父のように、保は小さい頃からいつもビクビクと人の顔色を伺うように。

 

もっと元を辿れば、きっと清もそもそもそんな育ち方をしたんだろうなあと思いました。
「清が全て悪!」みたいに言ってきたんですけど、清が「俺だってね、被害者なんだよ!」という場面があるんですね(清が酷すぎてまったくそうですねとは思わないんですが)。唯一そうかもしれないと思う節があるとすれば、そこですね。

 

きっと清も自分の父親からきちんと愛されてこなかったのではないかなぁと。清は本当に最悪の父親だけど、決して家族の事を愛していない訳ではないと思うんですよね。幸せを夢みた頃もあったけれど、愛されてこなかったから愛し方がわからなくなってしまったというか、空回りして泥沼にはまってしまった気がしました。

 

そうだとしたら、そこは悲しいなって。

(悲しいよね…)

 

監督の赤堀監督は、”この物語は、対岸の火事ではなく、我々の地続きにある。ある家族の話。”とコメントしていました。先にも書きましたが、ほんとそれを痛いほど感じました…。

 

私もそれなりに家族のことで大変だった時期とかあったんですけど、

 

うちはそうならなくて本当に良かったって大真面目に思いました。

どこかで何かが狂ってしまってたら、葛城家の中の誰かに私もなってたかも…なんて。

(ザワザワ〜…)

この表情にハマってたらしく、我ながらこなきじじいみたいでかわいい。

 

大袈裟じゃなくて、それくらい身近で誰にでもあり得る、普通の家族がどんどん堕ちて行く話でした。

最後にズーーーンと何かが残る、後味悪い映画はたくさんありますけど、これはなんていうか、本当に他人事じゃない、一番こわいやつ。

 

ちなみに、今日の映画のお供はこちらだったんですが。

 

 

しぶや荘の住人のあゆみんが、ウイスキー愛に満ち溢れたコラムを書いていたので、私も久しぶりにウイスキーを飲みたくなって。知多さん(”さん”が大事)のハイボール&越後姫に生ハム!

 

↓ちゃんと真っ直ぐに切れたよ!あゆみん!

 

が。
物語の暗さに対しての今夜のお供たちの多幸感よ。なんというミスマッチ。笑

 

知多さんすごく美味しいのに、葛城家のせいで全然お酒が進まなかったよ…。

(ごめんあゆみん…。 ※現代版)

 

という訳で、もう絶対観たくない!けど、観て本当に良かった映画でした。
まだ観てない方、特にこれから家族を作っていく方、「自分はこんな家族作るまい!」という教訓を刻むためにも絶対に観てください(それには重過ぎるけれども)。

また劇中の音楽がわざとらしく明るいクラシックで、より狂ってる感が出てた気がします。
俳優陣の自然でリアルすぎる演技も最高でした◎

なので、三浦友和さんはしばらく大嫌いです。もう「洋服の青山」でも「スーツのはるやま」でもどうでもいいです!(褒めてます)

 

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