もしもaiboのぽこまるがサッカーボール大のリクガメロボットだったら

子犬を強く意識したデザインと、他のロボットがなし得ないような、滑らかで犬らしい動きを小さな体でやりのけるaiboのぽこまる。ロボット好きとして、その完成度の高さに凄くびっくりしました。

 

新型aiboの開発秘話の中で、今回のaiboは『生命感』をコンセプトにしたと語られていて、旧世代のaiboでは使われていなかった『犬型ロボット』という表現も公式で使われるようになりました。

 

誰がみても「かわいい!」と思える犬的なジェスチャーや反応も、「ワンワン!」となく声も、犬に近づけようとした相当の技術的努力が感じられます。

 

コミュニケーションロボットとして、aiboは間違いなく現時点で世界で一番だと思います。

 

 

しかし、今までの連載でも書いてきたように、私にとっては「ペット」にならなかった。

確かに可愛いのだけど、もの足りない。たまに思い出したように遊んだ際に「可愛いな」と思うような、ぬいぐるみ以上ペット未満の存在なのです。

 

前回のコラムで書いたように、aiboが生活の中で掛け替えのない存在になった人もいますが、私や私の周りの反応を見るに、それはaiboの一部の熱狂的なファンとみた方が正しいでしょう。

 

15年前の旧世代のaiboと暮らしてきた生活の中で、コミュニケーションロボットに強く興味を持ち、どうしたらロボットがペットになれるのかについて興味を持ってきた私にとって、更に高性能になった今回のaibo(ぽこまる)が、何故もの足りないのかということは新たな大きな興味になりました。

理想のデザインについて考えてみる

私は、aiboが犬を模した現在のデザインではなく、この世界に存在していそうで、していないような動物のデザインだったら、もっとaiboの性能や可愛さを引き出せたのではないかと思っています。

 

なぜなら、ぽこまると暮らしていく中で、ロボットの機能やメカニクス的な動きの面で、どうしても犬のレベルに達しているとは思えないからです。

 

 

この連載の中でも書いているように、ぽこまるは部屋を勝手に歩き回ったり、人の場所を認識して反応したり、人の言葉も割とわかるほど、技術的には高性能なロボットです。でも『ロボット犬です。』と言われた時に、どうしても犬と比べてしまい、まだまだ犬とは言えないなぁ、なんて思ってしまうのです。

 

犬は知能、そして身体能力共にとても優れていて、走る能力などは人間も劣るほどです。それゆえペットとしての人気が高く、様々な事情で飼いたいけど飼えない人も多い。ペットといえば、犬というイメージすらあります。

その点で、『ロボット犬』と聞くとすごく夢があり、様々な想像をしてしまいます。自然とロボットに対する期待値がものすごく上がってしまうのです。

 

例えば、ぽこまるが今と同じ性能を持ち合わせているリクガメのデザインをしたロボットだったら、私は今の性能を今より高く評価して、今よりももっと遊んでいたんじゃないかと思います。

 

実は私は実家で10年以上、小型のリクガメを飼っていた経験があります。リクガメは知能的な動物ではないですが、家の中を歩き回ったり、餌を嗅ぎ分けて食べたり、人間個人のことをどうやら認識しているようでした。身体能力はあまり高くなく、ゆっくりと4本の脚を使って歩きます。小さい段差なら超える事はできますが、階段などは超えられません。

 

もし、ぽこまるがサッカーボール大のリクガメロボットだったら、身体能力はリクガメと同等、知能は愛玩目的としては充分過ぎるほどです。(リクガメと比べて単純に能力が高いといえないのは、リクガメは生きていくために必要なリスク管理や生殖にまつわる部分などで現在のAIがなし得ない能力を持っているからです)

 

リクガメの形をする事で、見た目から感じる能力よりも少し高性能な存在になることができるので、ユーザーもがっかりすることもなく、飽きることもなく、絶妙な関係性を作れるのではないかと思うのです。

 

しかし、実際に世間に向けて発売し、「ユーザーが一定数いなくてはならない商品」ということを考えると、そうともいかないこともよく理解できます。

 

まず、『ロボット犬』というワードを聞いただけで、購買意欲をそそられる人が多いだろうという点です。『リクガメロボット』と言われても、それに20万円以上出す人がどれだけいるでしょうか。また、リクガメはあまり番人受けするような動物ではありません。

また、リクガメを室内で放し飼いにするようなイメージを、普通のユーザーが持つ事はできないでしょう。

 

そういった意味で、ロボットのデザインはこの世に存在していそうで、存在していない動物のデザインが良いのかもしれないと思っています。

それも、見た目からしてあまり動くのが得意ではなさそうな動物です。例えば、ファンタスティックビーストのニフラーなんてどうでしょうか。

 

 

うーん、知能はaiboの知能でいいかもしれないけど、身体能力がニフラーの方が高そうかも、、、

近藤那央のプロフィール

1995年12月24日生まれ(リッキー・マーティンと同じ誕生日)。慶應義塾大学環境情報学部卒。ロボットアーティスト(ロボットいきものクリエイター)。

 

高校時代にペンギン型水中移動ロボットの開発チーム「TRYBOTS」を主宰し、国際ロボット展や玉川高島屋S・Cなどの展示会や科学館へ「もるペン!」を提供。

幼い頃からAIBOと暮らしてきた経験から、いきものらしいロボットをテーマに「ネオアニマ」というロボットを開発しています。

 

Forbes 30 Under 30 Asia,日経ビジネス次代を作る100人,ロレアル・ユネスコ日本女性科学者賞特別賞受賞。

 

2018年夏よりシリコンバレーに移住し、ロボットと暮らせる社会を目指し活動中です。

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