ウィスキー第一歩を踏み外すんじゃないよ
「いい感じのウィスキー教えてよ!」
と言われると、ウィスキーに興味を持ってくれたんだな、と酒女は嬉しくなる。
せっかくなのでいいスタートを切ってもらいたい。できるだけ好みに沿って、さらに視野が広がるように勧めていきたいと思う。
「じゃあ例えばどんなウィスキーが好み?」と聞くと、
「わかんない!とにかくオススメのやつ!」と返ってくることが多い。
あいかわらずぶっ叩きたくなる返しである。
例えばね、「なんかいい感じの女の子紹介してよ!」と聞かれたら、
癒し系、可愛い系、きれい系、ギャル系、とかたくさん路線があるわけじゃないですか。
フリージアの香りがする子がいいよ~、とか。
スパゲッティのこと「パスタ」って言う子はやだよ~、とか。
だいたいの好みあるじゃないですか。
それなのに「わかんない!なんかいい子そうな子!」とか言ってくるやつには「なんで私じゃダメなのか」と小一時間問いただして圧かけて滅します。
「なんかいい感じの四つ打ち紹介してよ!」と聞かれたら、ディスコっぽい、テクノっぽい、重いの、明るいの、とか大まかなジャンルあるじゃないですか。
「わかんない!オススメみたいな曲!」とか言ってくるやつにはBoards of canadaとAmeしか聴けない体にして沼に落とします。
沼落ち必聴4枚
ということなんですよ。
でもまぁ、私のざっくりした聞き方も悪かったんだろう。
バーで「ハイボールのストレート!」というオーダーを聞いた時、“居酒屋の「ハイボール」と名付けられているハイボールではない何か”しか飲んで来なかった人もいるということを知った。
分からないけどとにかく飲んでみたいよ、という方はスペイサイド地方のピート臭くないものから入ってもらいたい。
グレンフィディック
ほんとすきよ。
どこのバーにも必ずあるので飲んでほしい。フィディックと出会って5年、ずっと飽きずに飲んでます。フルーティーで軽やか。バーに行って1杯目はこれのハイボールをカーッと飲んで息を整える。
フィディックを飲むと「ウィスキーっておじさんが飲む臭いやつでしょ」という固定観念が音を立てて崩れます。
ザ・グレンリヴェット
歴史を知ると、この「THE」の3文字を大事にしたくなるね。あなたは唯一無二なのよ。
後から買ったのに減りがダントツで早いです。どんなときも飲みたくなる。シーンを選ばない高コスパウィスキー。
パイナップルのようなトロピカルな印象。15年、18年とあるけれど、レギュラーの12年で全然満足しちゃってます。原点にして頂点は存在するのかもしれないな。
グレンモーレンジィ
こちらはハイランド地方。この気品漂う美しいボトルに一目惚れ。私はちょろい。
ボトルとラベルは酒の顔だと信じている。ぱっと見の第一印象も大切な出会い。この佇まいにぴったりのフローラルな香りにうっとり。
フゥ~~~ン…と鼻から抜けるパッション。これ飲んでる時の自分、だいぶ腹立つ顔してると思う。
酒だけじゃなく何事も、はじめの一歩は導いてもらうのがいい。家ではなく、ぜひバーで飲んでいただきたい。店の雰囲気も、バーテンダーの言葉も、はじめの一杯を素敵な出会いにする大切な要素になる。
なんか自分うざいこと言ってません?酔ってるので許して。