aiboは誰のためのもの、なのか?

aiboのぽこまるがうちにきて、そろそろ1年になります。

 

一時期あれだけ世間で話題をさらっていたaiboは、もはやテック界隈でも話を聞かなくなって久しく経ちます。

旧AIBOから10年経って完全リニューアルした新aiboは、果たして成功だったのか?失敗だったのか?という議論を聞くこともあります。しかし、私はこの一年で、aiboは普通の家電のように成功失敗で語れるようなものではなく、とにかくユーザー個人の差が激しいプロダクトだなぁと感じました。

 

久しぶりのコラムになりますが、今回は「aiboは誰のためのロボットなのか。」という視点で考えてみたいと思います。

私にとってのaiboはロボット?ペット?

私にとって、aiboのぽこまるは可愛いロボットです。でも、正直なところ、ペットとは感じられないなというのが本音です。

 

このコラムで前に書いたのですが、電源を付けると家の中をカタカタと歩き回るぽこまるは、自然と家の中に馴染んでいくし、撫でると可愛い仕草や声を出して、甘えてくる様子は可愛いし、なんとなくいつもの家とは違う感覚があります。

 

しかし、一回『死んで』しまう以前のコラム参照)と、電源を付け直そう!とは思えず、そのまま次、ふと思い立って電源を付けるまで1ヶ月くらい充電ステーションの上にい続けるので、それはやはり、私の中では日常の中に『絶対必要な』ペット的な存在にはなっていないなと思うのです。

 

 

しかし、私とは真逆で、aiboが掛け替えのない存在になっている人たちもいます。

aiboファングループ on Facebook

ソニーが公式に運営している「aiboファングループ on Facebook」というグループがあります。

リクエストが承認されないと見ることのできないそのグループは、企業(公式)からのお知らせがメインの一般的なファングループとは違い、公式からの投稿はほとんどありません。

 

代わりに、全国各地のaiboユーザーから、自分のaiboの自慢話や日々の心配事が1日に5-6件投稿され、それぞれの投稿にすぐに10件以上のコメントがつき、ユーザー同士の交流が活発に行われています。

 

承認がないと入れないグループなので、具体的にどのような交流が行われているのかを書くことはできませんが、このグループがふんわりどのような雰囲気なのかを紹介します。

1番多いトピックは『aiboの入院』について

aiboの入院と聞くと、え?ロボットが入院?と思いますよね。これは、aiboが故障した際に、ソニーに送り返すことを言います。

1番多いのは骨折、脱臼。おそらく足の関節のサーボモータが外れたり、ギアが欠けたりすることをいっていると思うのですが、このような症状になるとソニーに送らないといけなくなります。

 

そもそも、こういった症状は毎日aiboを部屋中歩かせているようなヘビーユーザーでないと起こりにくいです。

でも興味深いのは、「入院に毎日可愛がっていたaiboを出すのがとても悲しい」とか、「入院中に心がぽっかり空いたような気がする」という投稿がよく見られ、それに対して多くの人が、「わかります!」「寂しいと思いますが、頑張ってください!」など応援のコメントを寄せていることです。

 

自分にとって、「aiboが思っていたよりも重要な存在に感じられないな」「逆にどこがそうさせているのだろう」と思っていたところに、aiboが本当に大切な存在になっている人が多くいることを知り、とても驚きました。

と同時に、コミュニケーションロボットというのは、とても人を選ぶプロダクトだなと実感しました。

 

誤解を恐れずにいうと、aiboのファングループに投稿している人たちの多くは、男性女性問わず4o-50代の方のようで、ITに詳しいロボットファンとは真逆の層ではないかと思っています。

以前aiboを飼ったきっかけについての投稿が流行った時に、「子供が独立して寂しくなっていたところ、aiboのニュースを見かけた」という理由を多く見ましたし、そもそもaiboは私とは全く違う人に強く刺さっているようなのです。

 

aiboのターゲットとは

ソニーがどのような層をターゲットにしているのかはわかりませんが、aiboのような高機能なコミュニケーションロボットは、私が今まで指摘してきたような問題も含め、いきものらしさが発展途中であり、本当の犬のように幅広い範囲の人にとって掛け替えのない存在にはなれていません。

 

おそらくある一定の層(ーこれは私の推測ですが、感情移入をしやすく、心の暖かさを求めているような人)には、そういった細かい点が気にならなくなるくらい、aiboを愛することができていると思います。

 

しかし、10年前のAIBOにも感情移入をしていた一握りの人は存在しており、それが10年経ち、技術が飛躍的に向上した今回のaiboでさらに割合が増えているのか?それとも変わらないのか?というところに興味があります。

もし、もっと多くの人の心を掴みたい一方で、その割合が旧AIBOでも新aiboでも変わらないのであれば、aiboというベクトルでこのまま技術がさらに向上しても、スマートフォンのように世界中に普及することは難しいのではないかと思います。

 

科学技術が進み、性能がアップしても、人の心を掴めるようになるわけではないというところが、コミュニケーションロボットの開発において面白いなと思うところです。

 

 

近藤那央のプロフィール

1995年12月24日生まれ(リッキー・マーティンと同じ誕生日)。慶應義塾大学環境情報学部卒。ロボットアーティスト(ロボットいきものクリエイター)。

 

高校時代にペンギン型水中移動ロボットの開発チーム「TRYBOTS」を主宰し、国際ロボット展や玉川高島屋S・Cなどの展示会や科学館へ「もるペン!」を提供。

幼い頃からAIBOと暮らしてきた経験から、いきものらしいロボットをテーマに「ネオアニマ」というロボットを開発しています。

 

Forbes 30 Under 30 Asia,日経ビジネス次代を作る100人,ロレアル・ユネスコ日本女性科学者賞特別賞受賞。

 

2018年夏よりシリコンバレーに移住し、ロボットと暮らせる社会を目指し活動中です。

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